閉じた世界より
ここは何処なの?
誰がわたしなの?
混乱は承知の上で
ただひたすらに考えるのは
今夜の夕食の献立のこと
落とされる回想の
鮮やかな色
薄墨の空を
汚す要らぬ色
遠くから聞こえる団らんの灯と
耳元に響く金切り声の冷たさ
堪らず 世界を閉じさせた
夜の空には月も星もひとつも無くて
今は何処なのか
何がわたしなのか
科学と哲学を学び
導き出した正答は
果てしないからこそ惑え、と
正しい音 正しいリズム
刻めないこと
間違いを知っている
それだけでいい
健やかな笑顔と寝顔と幸を
誰にも自分にも邪魔をされずに夢を
願う この閉じた世界の中で
月も星も見えない空でも