病気、薬、どんなもの? ネット検索について
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診断がついたり、この疑いがある、と言われたら、それがどんな病気なのか気になりますよね。
ネットにはたくさんの情報があります。どれが本当なんだろう、あれ、自分とは違うな?と考えてしまうこともあります。
情報に振り回されてしまう可能性も。
医師が心行くまで説明してくれたら、それは素晴らしいですね。
だとしても、ネットになんて書いてあるのかが気になってしまうのが、現代人というものです。
それぞれの病気に関する書籍も多数販売されていますが、多数であるために、どれがいいかということもネットで調べることになります。
でも、そのネットの情報はどこまで信じていいものなのでしょうか?
当てはまること、当てはまらないこと
ネットで検索すると、たくさんのサイトがヒットします。
たとえば、もっともポピュラーな「うつ病」でGoogle検索すれば、なんと約37,200,000件がヒットしてしまいます(2023年8月8日現在)。
その中でどれが自分にとって有益な情報で、どれが無益なもの、どれが有害であるのか、見分けるのは簡単ではないかもしれません。
ひとというものは、信じたいものを信じます。正しいか正しくないか以前に、自分の信じたいものをばかりを選びます。
症状について検索してみれば、いろんなサイトの症状に関する説明を読む事ができます。
そうすると、必ず通る道があります。
これはあてはまる。これはあてはまらない。これは、これは……。という答え合わせをしたくなる状態です。
当てはまらないことが多いと、本当にその病気であるのか疑いたくなったりします。
ですが、病態は、ひとそれぞれに違い、テンプレ通りこそが珍しいのです。
当てはままらないことがあるからと言って、その病気ではないということには直結しません。
おすすめなのは、それを主治医に直接尋ねることです。こうではないのはなぜなのか。この記述は正しいのか。
親切に説明してくれるとは限りませんが、その対応にも医師の意図するものがあったり、また、その医師が信頼できるかを確かめることも出来るのではないでしょうか。
~ハココの場合~
ハココは解離性障害という聞きなれない病名とされたとき、当時の主治医にはネットで調べてはいけない。と言われました。ネットには不確定要素が多い、信用できない情報が多い、とのこと。それはたぶん「解離性障害」であるから余計だったのでしょう。世の中には、自称多重人格さん(解離性同一性障害に憧れるひと)がたくさんいます。
病院を変えた後の医師は、好きなだけ調べていいと言いました。その情報の真偽が知りたければ自分に聞くように、と。おかげでハココは思う存分調べました。しかし、いまだによくわからないままです。
自分の病態は自分にしかないので、その説明文はネットにはないのです。
薬についての知識は必要か
薬についての説明サイトも、医療関係者向けから家庭向けまでたくさんあります。
どういう症状に効果があるのか、どういう病気に使われるのか、副作用はどんなものがあるにか、などなど。
読んでいると飲むのが怖くなってしまうことが書いてあることもあります。
そして、たとえば「うつ病だと言われたのに、統合失調症に使う薬が出されている」などということに気がつくこともしばしば。そこから、もしやわたしはうつ病ではないのか?などと疑いを持つ結果になったり。
薬というのは症状に合わせて出されるもので、主に統合失調症患者に使う薬がうつ病患者に出されることもあります。
その症状に合うと思われる薬を処方されています。この病気だからこの薬を出す、ということだけではないのです。
心が落ち着く薬を出します、と言ったのに、ただの胃薬じゃないか!なんてことも。自分は胃薬なんかをもらいに行ったのではない!と憤慨するひとを見たことがあります。
でも、その胃薬に心が落ち着く作用が少しあったり、胃薬によって、食欲の面が改善、ということもないこともない。どの薬がその患者にちょうど良いか、探っているのかもしれません。
奥が深すぎる精神薬の世界
精神薬と一口に言っても、メジャーだの、マイナーだの、奥が深すぎる世界であることに間違いはなく、ひとによってはとても魅力的に映ることもあります。
この薬を飲んでみたい!なんて思ってしまうことも。
それとは逆に、断薬ブログなどを見て、離脱症状を知ったり、依存について知ったり、本当に飲むべきなのか、飲んでも大丈夫なのか不安になることもあるかもしれません。
ですが、たいてい、必要だから処方されたものです。
確かに、ベンゾジアゼピン系などは、海外では使用が慎重だったりします。
薬について飲む飲まないは、結局のところ自己判断になってしまうのも確かです。通院での治療では服薬がちゃんとなされているかは、自己申告に頼るところもあります(その薬の効果、血中濃度を血液検査で見たりすることはありますが)。
統合失調症患者の多くは、投薬を拒むことがあり、それを防ぐための入院や、注射による投薬などもあります。
ですが、やはり通院である限り、服薬は自分の意志なのかもしれません。
とはいえ、藁にも縋る思いで辿り着いた医者が処方した薬なら、藁に縋り付いて飲むことに躊躇いもないかもですが。
しかし、投薬が上手な医師、そして苦手な(下手な)医師が存在するのは事実です。
下記はハココの実体験です。
~投薬が苦手な医師~
15歳で通いだした心療内科。眠れないからとどんどん強い睡眠薬に変わり、普通に処方されるものの最強までもが登場。不安を訴えるたびに安定剤も増えていきました。いろいろあって、変わった病院の主治医は、話をとてもよく聞いてくれる女性の医師で、わたしの訴えを聞いて、じゃあこの薬を、とその繰り返しで、薬がさらにどんどんどんどん増えていきました。いつの間にか、毎食後に片手いっぱいの錠剤を飲むことになっていました。が、わたしは体調が良くないので、医師の言う通り服薬するこ以外できません。こんなに多いなんて、自分はよほど酷い状態なのだろうか?
その医師が一身上の都合で退職し、新しい主治医はわたしの処方に驚きを隠せない様子でした。異常な量、だったそうです。その日、ハココの薬は1/3になり、これから順当に減らしますと言われます。いきなり減ってしまって不安でしたが、体調が悪くなることはありませんでした。減った薬でキープ、たまに増えたり減ったりをしていた薬は、他の病院に移るとさらに、多いので減らしたいと思います、と、またも一気に1/3になりまた。ですが、それによって体調が悪くなることもありませんでした。
あの薬は一体何だっただろう? まるで毎日が、ぷちOD(オーバードーズ・薬の過剰摂取)だったなあ、と振り返ります。
そんなハココは現在、投薬は最小限にしてほしいとお願いし、減薬中です。薬がなくても大丈夫でありたいと思っていますが、まだ道のりは遠そうです。
オーバードーズは危険
精神薬を処方してもらうが、処方箋通りには飲まず、自分の裁量で飲む、という患者もいます。薬の知識が有り余るゆえなのでしょうか。
そうでなくても、オーバードーズをするために溜めて、まとめて飲んで、ラリッてみる、なんていう危険なことをするひとも(こういうひとはラリるための適量や、ラリるに適した服用法をご存じな様子です。わたしは知りません)。
自殺の方法の一種で大量服用するひともいます。
ですが、はっきり言って、通常日本で処方される精神薬のみで完遂することは不可能です。致死量は何万錠という量らしいですし。
それでも、呼吸機能が低下したり、嘔吐物が詰まって、ということはあります。
ちなみに、救急搬送されて胃洗浄となると、たぶん苦しいです。苦しくてもう二度と胃洗浄は嫌だ!と友人が言っていました(実はわたしも経験していますが、別に平気だった……。は言わない方がいいのかなあ)。
そもそもなぜオーバードーズをするのか
命を絶つ目的で行うひと、現実逃避したいからと行うひと(それによって得られる浮遊感だったりがあるらしいです)。
これらは、繰り返してしまう傾向にあり、医療現場でも問題になっています。
精神薬にとどまらず、風邪薬や頭痛薬、咳止めなどの市販薬も問題となり、購入制限が掛けられたりもする事態です。
背景にあるのは、生活、過去、トラウマ、様々でしょうが、これらは間違いなく、自傷行為です。
無意識の「助けて」という叫びなのかもしりません。それしか、助けを求める方法がない方を思うと、苦しくなります。
自分で作る処方箋
精神薬の知識があふれ出て、自ら処方のリクエストをする患者や、深く考えもせず患者の希望通りに処方する医師も存在します。
そんなのは、もう治療ではないのでは、と思います。
医師が自分の思い通りに動くのは、都合がいいでしょう。でも、治療が目的なら、それは良いとは言えません。
薬に関する知識に自信があり、自分のこともよくわかっていたとしても、医師が鵜呑みする状態では、患者に良い影響はないでしょう。
患者さんの知り合いから、これこれこうツライと訴えたのに薬が増えなかった。なんて不満を聞くとこがあります。
でも、それは今の処方で大丈夫と判断したと言うこと。薬というのは、どんなものだって毒であることに変わりはないのです。飲まなくて済むなら、その方が良いはずです。
それでも、ツラくてたまらないなら、また医師と話すことにする。
通いなれている患者の多くは、薬に対する抵抗も低く(完全にない人も)、薬を飲みさえすれば楽になる!と思いこんでいるひとが多いように感じます。
でも、医師と同じく薬は万能ではありません。
それを一応頭の端に入れておくべきだと思います。
~ハココの場合~
ハココは精神薬を処方されはじめた当時は、興味津々でした。
薬が気持ちに作用するとは何事か!なんて興味深い!なにがどうなってどうなるのか? 脳内でこれがこうで……ふむふむ。などと精神薬の記事を読み耽ったことも。人体実験よろしく、この薬を飲むとどんな感じがするのか体験したいなどど考えたことも。しかし幸いそれほど興味は続きませんでした。それよりも楽しいことがあると気づいたから。それこそ、もともとあった趣味などができるということの方がずっと楽しかったのです。
情報の利用は自己責任
自己責任、なんて冷たく感じるかもしれません。ですが、そうでしかありません。相談できる相手が四六時中疑問に答えてはくれないのだから。むしろ四六時中答えてくれる人がいないからこそのネット検索なのだろうけれど。
ネットには、有益な情報がたくさんあります。そして、有害でしかない情報も溢れています。どれが本当に自分のためになるのか、自分で選び取っていくしかないでしょう。
そして、自分だけで片付かないなら、主治医に質問するのが一番です。
そのために、通院しているのですから。せっかくそうしているのだから、使わない手はない!