詩「死にゆく中で生きゆくわたし」

詩のようなもの

死にゆく中で生きゆくわたし

あなたが発する
悲しいを 悔しいを ツライを
この心に刻みつけるためにも
わたしは生きてゆきたいのです
自身の心臓が止まるときまで
あらゆるひとの苦しみを刻んでいたいのです

生きることに意味は必要でしょうか?
有意義なことだと 誰に判断してもらえば
そこに意義があると証明できますか?

誰の何の役にも立たないわたしは
そんなことをしたって
役に立ちもしないことを
理解しているつもりです
こんなにもちっぽけな存在に届いたとて
あなたの苦しみに何の変化もないだろうこと
理解しながらも
ただ その言葉をわたしは胸に刻みたい
刻みつけてやりたいのです

あなたが苦しんでいたことを
悲しみを 憎しみ抱え
生きていたという事実を
理不尽に晒されたこと
悪意を見せつけられたこと
そうして あなたが生きていたという事実
あなたの言葉としてのあなたを
ずっとずっとこの胸の中に
大切に大切に抱いていたいのです

あなたに何があって
お別れのときが来たとして
わたしを嫌って
たとえあなたに酷いことをされても
わたしはこの大切なことを
いつまでも大切なものとして
色褪せることすらなく抱いている自信しかなくて
本当にごめんなさい
あなたがわたしに
大切と思われたくないと言ったとして
わたしの中の大切は
永久に大切としてしかいられない
こんなにも勝手なわたしで
本当にごめんなさい

出会いたくなかった
そう あなたに言われても
出会えてよかったと一度本気で思ったわたしの
そのときの気持ちは何があってもそのままです

出会わなければ
あなたのことを知ることはなく
出会えたことを「よかった」と思うこともなく
たとえ 憎しみ合って別れても
その幸福な気持ちに後悔はないのです
知らなければ
こんなに悲しくなかっただろうことでも
もしほんの少しでも触れたことで得た
この小さなよろこびは
あまりにも大きなものだから
全く 後悔なんてものにないのです
あなたを好きになれたこと
どんな後悔ができましょうか

I love you. Oh, I love you so much.
For precious you somewhere in the world.
I want to cherish that feeling forever.
I will keep your words etched in my heart.
I can’t do anything.
I can only do things that don’t make much sense.
Even this act is useless.
What a meaningless “I love you”.

ただ自己満足のために
生きゆくわたしの勝手な行為は
愛というにはあまりに意味がないでしょう
けれども突き詰めれば
誰も彼もの生きる理由は
自己満足の愛ゆえにあるのでしょう
地位も権力もお金も夢も加害行為すらも
自己満足の愛ゆえのことでしょう
死にゆく人生を生きゆくひとの
どれもこれもが自己満足の愛ゆえに
他人を傷つけたことさえ
自分への無償の愛ゆえの

愛を他人に向けることすら
きっと自分のためでしかなく
自己満足のためにひとはひとを愛するでしょう
その愛ゆえに生きるでしょう

死にゆく途中のわたしは生きゆく
ただただ生きてゆくのでしょう
自分勝手な愛ゆえに
大切なものを想いながら
自分の勝手で何もできない自分を憎みながらも
生きゆくでしょう
自分勝手な愛ゆえに
自己満足のためだけに

なんて愚かしいことだろう
愛なんて 生きるなんて
自分勝手なものだと理解しても
愛するしかないなんて
なんて愚かな生き物でしょうか
人間なんて 愛なんて
なんて愚かで愛おしい

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