詩「閉じた世界より」

詩のようなもの

閉じた世界より

ここは何処なの?
誰がわたしなの?
混乱は承知の上で
ただひたすらに考えるのは
今夜の夕食の献立のこと

落とされる回想の
鮮やかな色
薄墨の空を
汚す要らぬ色

遠くから聞こえる団らんの灯と
耳元に響く金切り声の冷たさ
堪らず 世界を閉じさせた
夜の空には月も星もひとつも無くて

今は何処なのか
何がわたしなのか
科学と哲学を学び
導き出した正答は
果てしないからこそ惑え、と

正しい音 正しいリズム
刻めないこと
間違いを知っている
それだけでいい

健やかな笑顔と寝顔と幸を
誰にも自分にも邪魔をされずに夢を
願う この閉じた世界の中で
月も星も見えない空でも

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